エライのはお店か客か
「そんなにお前たちはエラいのか?」
客がお店に対して言うこともある。
あるいは、お店が客に対して言うこともある。
僕は自分自身に問う。
客である自分はお店よりエライのか。
否、エラいのは絶対にお店である。
いろいろなお店があってこそ、僕たちは変化のある食生活を楽しむことができる。
いろいろなお店が、味で、サービスで、雰囲気で、僕たちの生活に潤いと刺激を与えてくれる。
だから僕たちはレストランに行ってお金を払うのである。
しかし、僕たちにも言いたいことはある。
楽しむために期待に胸膨らませて行ったレストランで
本当にがっかりさせられたこと、嫌な思いをしたことは、嬉しい思いをしたことと同数、それ以上にある。
お客さんは気楽だ。
嫌なら来なければいい。簡単なことだ。
確かに行かなければ嫌な思いはしなくてすむ。
でも行ってみなければ何も分からない。行ってみなければ何も始まらない。
だから、もしかしたら嫌な思いをするかもしれないと分かっていても、僕はいつでも期待とかすかな不安を胸に新しいレストランの扉を開く。
新しい店に入る時、お客さんはドキドキなのだ。不安なのだ。
ギロッと客の品定めをするように目だけを動かしてこちらをちらりと見たり、目も合わせないで席に通されたり、棒読みでメニューを紹介されたり、
笑顔のない接客や乱暴なテーブルサービスがあったり、そんなお店がたまにある。
そして思う。
「僕は招かれざる客なのか?」
僕はぎりぎりの作り笑いで、失望を隠しながら店を出る。
もう二度と行かない。そう胸のうちで決意しながら。
常連になれば言いたいことも言える。けれど一度行ったきり二度とは行くまいと思うお店が大半だ。
そして僕たちは何も言わずに、いちげんさんとなる。
お客さんが行かなければお店は成り立たない。
だからお店は、来てくれたお客さんに精一杯のもてなしを提供する。
けれど店だって客を選べる。いや、選ぶべきだ。
お客とお店、どちらがエライか?
店が客を選び、客も店を選ぶ。
そんなお店にとっては、こんな議論は不要である。
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