ジャン・ジャンセン
この絵からあなたは何を感じますか。
暗く、塗られたバックに 1本のろうそくの炎によって、照らし出された王様と女王。
その周りをとりまく道化師たち。
穢れの象徴のように右半分、鮮やかな青をこぼした純白のドレスをまとった女。
痩せこけたほおが貧困を思わせる黒ずくめの男。
目、鼻、口をことさら大きく描かれたぼろを着た男。
裸体をさらす女性。
光の届かない場所に配置された男は、衣服の色もその表情さえもはっきりとは推測できない。
そして無気味な笑みを持つ男が女王の隣に大きく描かれている。
炎によって照らし出された鮮やかな黄色さえもその男の表情の下では不気味でしかない。
彼等はまるで死神のように見える。
そしてどこかほおけたような表情の王。
その横で右隅を見つめる女王はいったい何を思っているのか、その表情は決して幸福を意味しない。
いわくありげな顔つきは、不安げととったらよいのか、しかし思わず邪推をさそう。
光と影を描いたといわれる画家、ジャン・ジャンセン。
彼の一生は決して幸せと呼べるものではなかった。
動乱の世に生をうけ、常に人生の影と隣り合わせの一生を過ごした彼は、物事や人の感情の裏、奥底にある影を描き、生きた。
彼が何を感じ、何を伝えたかったのか。
わたしには分からない。しかし、これらの絵は 私たちの心を惑わせ、揺さぶる。
影があるから光はいっそう輝いて見える。
そして光は影を生む。
ジャンセン・塚原美術館所蔵(長野県南安曇郡穂高町)
マスカラードシリーズ 「王と女王の舞踏会」油彩150号
↑INDEX ←前回のSTORY 次のSTORY→